世界で最も高価な薬ランキングトップ5

医療分野における研究や臨床試験は、薬が患者の手元に届くまでに長い期間、時には数十年もかかることがあり、この過程で失敗したり挫折したりする場合も多いです。副作用や経済的な問題を理由に、一夜にして研究プロセス全体がストップしてしまうこともあります。また、治療薬を発見しようとしている病気の患者数が数百人くらいと極端に少ない場合、研究にかかる経済的負担は治療費に反映され、天文学的な数字になることもあります。そこで今回の記事では、患者一人あたりにかかる研究費用が世界で最も高額な薬をいくつか紹介していきます。ご存知の薬があるかどうかチェックしてみてください!

ゾルゲンスマ

ゾルゲンスマは、2019年5月にFDAが認可したSMA患者に投与される新しい遺伝子治療薬で、212万5,000ドルという世界で最も高額な薬になりました。この薬は、SMAを発症した2歳未満の子どもにも静脈内懸濁液として投与されます。たとえまだ症状が出ていなくても、遺伝子検査でSMAだと診断された場合、この薬が投与されます。ゾルゲンスマは、市場にある唯一の競合品である米バイオジェン社のスピンラザに比べ、1回の投与で病気を完治する治療法であるため、これだけ高額な値段で販売されているのです。これまでの臨床試験の結果を踏まえると、将来的にはSMA患者が日常的に服用する治療薬となる可能性が高いそうです。

ゾーキンビー

ゾーキンビーは、ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(HGPS)による死亡リスクを低減することが承認された最初で唯一の医薬品です。ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群とは、2,000万人に1人の割合で発症するという、極めて稀な難病です。早老症の一種であり、若年者の老化を通常よりはるかに早め、その結果、患者の大半が15歳未満で心疾患により死亡します。ゾーキンビーがFDAから承認されるまでは、支持療法と対症療法しか選択肢がありませんでした。現在では、日常的にこの薬を服用することで、数年長く生きることができるようになっています。

Luxturna

Luxturnaは、特定の種類の網膜ジストロフィー(RPE65遺伝子変異)を有する成人および小児の治療に使用される薬です。数日間にわたる準備期間を経た後、眼内注射として投与されます。この準備期間は、薬が患者の体内で拒絶される可能性を低くするため、つまり免疫抑制のためです。慎重に管理された病院内で、専門の眼科医によって投与されます。

グリセロールフェニル酪酸

グリセロールフェニル酪酸(海外販売名:Ravicti)は、尿素サイクル異常症(UCD)の患者に処方される治療薬です。UCD患者は、慎重に指定された用量と用法に加えて、厳格な食事療法に従わなければなりません。グリセロールフェニル酪酸は、25mlバイアル入りの経口液として、1バイアルあたり5,016ドルで販売されています。投与量は患者の体表面積と年齢に応じて決められますが、年間の治療費が79万4,000ドル近くにおよぶ可能性もあります。

カーバグル

カーバグル(Carbaglu)は、血液中のアンモニア濃度が高い患者の治療に使用される薬です。この薬の服用が推奨される範囲は、一部のごく稀な疾患に限定されているため、処方対応となる患者数は非常に少ないです。また、1日の投与量は、体重1kgあたり100mg〜250mgまでと幅があります。病気の重症度によって必要な量は異なりますが、有効成分200mgを含むわずか5錠で、およそ1,040ドルもします。ですので、年間の治療費が79万ドルに達する場合もあるでしょう。